子供の国民年金を親が納付するメリットとは?

日本では、20歳になると国民年金に加入し、国民年金保険料を納付する義務が生じます。

ただし、20歳でも大学生(大学院生や専門学校生も含む)は「学生納付特例制度」を利用すると支払いが猶予されます。

この「学生納付特例制度」は、支払いが猶予されるのであって納付が免除されるわけではないので勘違いしないようにしましょう。

「学生納付特例制度」は申込書を日本年金機構ホームページや市役所などで手に入れ、必要事項を記入し、学生証のコピー(または在学証明書の原本)と共に市役所または年金窓口で提出することで申請出来ます。

ところが、特例制度の申請が却下される場合もあり、その場合は納付をしなくてはいけません。

子供の年金保険料を親が納付することが出来る!?

年金保険料は本人が納付すべきでしょうが、大学生であれば当然収入は無いでしょうし、近年は定職に就いていないことから年金保険料の納付ができない若者が少なくありません。

そこで、子供の将来の年金受給のことを考えて、親が代わりに納付してあげるケースが多くなっています(過保護にならないように注意が必要ですが)。

実は、子供の年金保険料を親が代わって納付してあげると、子供の分まで社会保険料控除として親の所得から控除できます。

国税庁のホームページにも以下のように記載があります。
『居住者が自己又は自己と生計を一にする配偶者その他の親族の負担すべき社会保険料を支払った場合には、その支払った金額をその居住者の社会保険料控除の対象とすることができます』

サラリーマンの場合は、所得税や住民税の算出時に、国民年金(厚生年金含む)の保険料が所得から全額控除されています。

そして、「生計を一にする」親族の国民年金保険料を納付した場合も所得から控除されることになります。

つまり、国民年金の保険料が年間約20万円とすると、親が立て替えて納付した場合、仮に親の所得税の税率が20%なら、4万円分の税金を安くすることができるのです。

ちなみに、本年中に支払ったものであれば、過去の年度分の保険料であっても本年分の社会保険料控除の対象になります。

所得の高い人が年金を納付した方がお得?

実は、節税の面で見ても、国民年金保険料は所得の高い人が納付した方がお得になります。

課税所得金額所得税率
195万円以下5%
195万円を超え330万円以下10%
330万円を超え695万円以下20%
695万円を超え900万円以下23%
900万円を超え1,800万円以下33%
1,800万円を超え4,000万円以下40%
4,000万円超45%

仮に、子供の年間所得が150万円、親の年間所得が500万円だった場合、国民年金保険料を年間約20万円とすると、控除される金額は以下になります。

  • 子供:20万円×5%=1万円
  • 親:20万円×20%=4万円

つまり、子供は1万円しか控除されませんが、親は4万円も控除されるということです。

従って、学生納付特例制度を利用するよりも、親が代わりに納付してあげた方がお得といえるでしょう。

加えて、生計を一にしている家族であれば、なにもどうしても親が子の年金保険料を払うのではなくとも、兄弟などが払うのでも同じように節税が出来ます。

その為、家族が多い家庭の場合は、兄弟の中で既に働いている人の所得から、まだ学生である兄弟の年金保険料を納付すると、家計の助けになる可能性があるといえるでしょう。

先述した、学生納付特例制度は、納付が猶予されるため納付しなくても構いませんが、その分受給金額が減ってしまいます。

例えば、2016年(平成28年)の場合、1カ月分の年金納付見送りで16,260円が年金受給額から引かれ、1年間なら195,120円が減額となります。

それよりは、働いてる親・兄弟が納付すれば親の所得が控除されますし、子供の年金額が減額されることもなく、一挙両独になり将来の安心に繋がった方が良いとは思いませんか?

生計を一にするとは?

「生計を一にする」というのは、同居している場合は子供に収入があっても生計を一にするになりますし、同居していなくても、生活費(家賃、食費他)や学業費などを常態的に送金している場合は、生計を一にしていることになります。

控除の手続きはどのようにする?

サラリーマンの場合は年末調整で行います。

年末調整の時に会社から渡される、おなじみの「給与所得者の保険料控除申告書」の用紙にある、「社会保険料控除」の欄に金額を記載し、日本年金機構から送られてきた「社会保険料(国民年金保険料)控除証明書」を添付して、会社に提出することで控除が可能です。

個人事業主の場合は確定申告の際に、確定申告書の社会保険料控除の欄に金額を記入します。税務署で処理が終わると、還付金を受け取ることができます。

親が子供の分まで国民年金保険料を納付するのは、あくまでも子供のために立て替えるだけであり、子供の収入が増えたら返してもらうことが、子供の自立心につながります。

ちなみに、国民年金保険料は生活費の一部と見做されるため、親が代わりに納付しても、贈与の対象にはなりません。

あっきー

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