幹線道路や郊外の住宅地を車で走っていると、道路わきにいっぱい並んだ「トランクルーム」を時々見かけます。
トランクルームの商売は、不整形地や狭い土地(最低20坪ほど)でも運営が可能ですし、コンテナを置いてあるだけなので費用も低そうなため、土地さえ確保できれば容易にできそうな商売とも思えます。
ビルのワンフロアを使って室内トランクルームとして運営しているものもあります。
そもそもトランクルームはどんなもの?
トランクルームはその名の通り、家などに置ききれない荷物や、ほとんど使うことのない道具などを収納するためのスペースを貸し出すものです。
一軒家に住んでいる方は敷地内に倉庫や物を置きを設置する事で、日常的には使わないものの捨てられない備品などを収納することが出来ます。
しかし、賃貸マンションやアパートの場合は、室内の収納スペースも限られているのに加え、部屋以外に倉庫として使えるような設備がない事も少なくありません。
そういった時に、トランクルームがあることで、自室のスペースを狭くする事なく物の保管が出来て便利といえます。
例えば、衣装持ちの方なら時期外れの衣類などをトランクルームに預ければ、住居の収納スペースが広がるでしょう。
ただし、何でも収納できるわけではなく、以下の物などは収納が禁止されています。
- 貴重品(現金・有価証券・預金通帳・貴金属・印鑑など)
- 可燃物や危険物(ガソリン・ベンジン・シンナー・ガスなど)
- その他、生物、腐敗物、悪臭物、盗品など
一般的には、季節物のレジャー用品や自転車、タイヤ、家庭菜園用農具、DIY工具などの保管場所にトランクルームは利用されていることが多いです。
トランクルームには種類がある
一般的に、屋外で見かけるコンテナもビルに入っているものも、まとめてトランクルームと言われます。
ところが、厳密には本当のトランクルームは倉庫会社が経営しているものを指し、賃貸会社などが経営しているものは収納スペースと言います。
その違いによって、細かい利用の条件が変わってくるので注意が必要です。
加えて、トランクルームの方は倉庫業法に基づいた認可が得られている必要があります。
収納スペースはその限りではありません。
また、トランクルームと収納スペースの形態を大きく分けると、屋外型(コンテナタイプ)と室内型があります。
まず、屋外型は、基本的にコンテナが設置されているだけです。
管理においても、利用者から委託されて物を預かるわけではなく、利用者に収納場所を提供しているだけなので、管理責任は原則的に利用者にあります。
なお、以下のことの注意が必要です。
- 用途地域の制限
- 建築基準法の適用
倉庫の用途でコンテナを設置する場合は、用途地域の制限を受けます。
コンテナであっても土地に設置するため、建築物としての建築基準法の対象になります。
屋外型は、本来の倉庫業法が関係するトランクルームに多いといえます。
室内型は、建物の中をパーテーションなどで区切ってあるのが一般的ですが、大型の物置を設置しているタイプもあります。
建物さえ用意できれば、設営費用はそれほど掛かりません。
運営方法は屋外型と変わりません。
ただ、室内型は収納スペースとして賃貸会社がオーナー募集をしている事が多いといえます。
ちなみに、利用料金は地域によって大幅に異なりますが通常、室内型は屋外型の2倍程度です。
一方、屋外型のコンテナには熱がこもって暑くなりやすい、湿気が強い、カビが繁殖しやすい、ホコリっぽいという欠点があります。
トランクルーム事業のメリットとは?
トランクルーム事業のメリットには以下などが挙げられます。
- 高利回り
- 容易な管理
- 修繕費が不要
- 撤退が容易
- 長い空き室期間
- 集客が困難
- 違反行為
- 舗装費:4,000円/㎡とすると、20フィートコンテナ1基の設置面積が18㎡、駐車場が30㎡(2台分+通路)なので、4,000円×(18㎡+30㎡)=約20万円になります。
- 設置工事:1基30万円
メリットの第1は、アパート・マンション経営には見られない20〜30%という高い利回りを得られることです。
大した費用の掛からないことが大きな利益率を生み出します。
トランクルームは人が住むわけではないので、大した設備を必要としません。
当然、借地借家法の適用もありません。
必要な設備と言えば、営業を認知させるための看板、24時間利用できるための電灯、セキュリティ上の防犯カメラ程度です。
また、管理することがほとんどないため、ランニングコストも少なくて済みます。
利用者との契約が解消されても原状回復工事は要らず、すぐに次の利用者に貸し出すことができます。
年数経過による老朽化の影響がほとんどありません。
仮に、事業を廃止する場合でも設備が少ない分、撤退が容易にできます。
トランクルーム事業にデメリットはある?
トランクルーム事業のデメリットとしては以下などがあります。
トランクルームの利用がそれほど一般化されていないためか認知度が低く、開業してから満室になるまでにかなりの期間を要します。
人通りの少ない地域で開業するため、集客が難しくなっています。
また、利用者は車の所有者であることが必須なため、効果的な宣伝方法の無いのが実態です。
管理をしているわけではないので、利用者が違反行為をしていても確認ができません。
運営費用はどれくらいかかる?
仮に、屋外用コンテナを使った事業を開始する場合は以下の採算が想定されます。
地域差が大きいので、あくまでも概算です。
まず、初期費用として、一般的に多く使われているコンテナは20フィート(6メートル、1~6室分)の改造コンテナですが、間仕切りの多さや建築確認対応によって価格は50~100万円です。
その他、舗装工事・設置工事で以下の金額が掛かります。
従って、1基の総額は100~150万円になります。
なお、看板は20万円程度です。
次にランニングコストですが、実質、電気料金(照明を付けた場合)くらいです。
仮に、巡回や清掃などで人を雇用すればその分の人件費も掛かります。
利用料収入は、屋外型と室内型でも違いがあり、地域によっても利用料金がかなり違います。
屋外型トランクルームは、畳数での料金体系を使っているのが一般的です。
相場としては、1畳3,000~5,000円になっています。
20フィートコンテナの広さは約8畳あるため、2室に区切ると約4畳、4室に区切ると約2畳、6室に区切ると約1.3畳になることから、コンテナ1基を満室にすると月額で24,000~40,000円ほどの利用料収入が得られます。
年額に換算すると288,000円~480,000円となり、初期費用が100万円~150万円/基であった場合、利回りは19~48%です(広告費やランニングコストを加味すると利回りは下がります)。
トランクルーム市場は今や500億円規模といわれており、成長を続けているビジネスといえます。
特に、日本の場合は国土が狭いために家の大きさが限られることから、荷物を保管するトランクルームへの需要が低くなることは考えられません。
空き家が多くなっている昨今、トランクルーム事業は検討の価値があるといえるでしょう。
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