セルフメディケーション税制【OTC医薬品控除制度】とは?
- 2018/2/5
- 税金
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従来、医療費控除制度というものがあり、1年間に掛かった医療費が10万円(自己負担分)を超えると所得金額から控除できるため、所得税や住民税が安くなります。
この控除制度は多くの人に認知されており、病院で治療を受ける度にせっせと領収書を集めている人が少なくありません。
実は、2017年から新しい医療費控除制度が施行されることになりました。それが「スイッチOTC医薬品控除制度(セルフメディケーション税制)」です。
OTC医薬品の年間購入額の合計が「1万2,000円」を超えた場合に控除が適用されます。この制度によって病院の嫌いな人?でも医療費控除を受けられる可能性が出てきました。
今回の控除制度の基本的な考え方は、軽い病気やケガは病院に行かずに自分で治すという「セルフメディケーション」に沿ったものと言えます。社会保障費が増大する中で、医療費の抑制を図っています。
スイッチOTC医薬品控除制度の対象者は?
スイッチOTC医薬品控除制度は誰でも利用できるわけではなく、健康の維持増進や疾病予防のために、特定健康診査、予防接種、定期健康診断、健康診断、がん検診を受けていて、対象となるOTC医薬品を購入した人です。
つまり、健康維持のために時間と手間をかけている人が対象となります。
スイッチOTC医薬品とは?
スイッチOTC医薬品というのは、過去、医師の処方箋が無いと使用できなかった指定医薬品(処方箋医薬品)の中から使用実績があり、副作用の心配が少ないなどの要件を満たした医薬品を薬局などで処方箋なしに購入できる一般用医薬品として認可されたものです。
要するに、今まで病院にいかないと手に入らなかった医薬品をドラッグストアなどの店頭で購入できるようになった医薬品のことです。
スイッチOTC医薬品は保険が効かない分、処方箋医薬品より高価なものが多くなっていますが、病院に行くための交通費や時間、診察料などを考慮すると、トータルコスト的には安くすることができます。
スイッチOTC医薬品の例
- パンシロントリム 三層錠(第2類)
- ガスター10(第1類)
- 大正胃腸薬S(第2類)
- アルガード鼻炎内服薬Z(第2類)
- エスタック鼻炎24(第1類)
- イブA錠(第2類)
- フェイタス(第2類)
- ダマリンL(第2類)
- コーラックソフト(第2類)
- ニコレット(第2類)
テレビのCMで見かける医薬品も結構あります。なお、スイッチOTC医薬品には下記の「セルフメディケーション税・控除対象」のマークが付けられます。
スイッチOTC医薬品控除と医療費控除の制度の違いは?
スイッチOTC医薬品控除 | 医療費控除 | |
---|---|---|
医療費等の支払い対象者 | ・本人 ・本人と生計を一つにする配偶者とその他親族 |
|
対象となる医療費等 | スイッチOTC医薬品購入費 | 医療費等 |
所得控除額 | 12,000円を超える部分で88,000円まで | 10万円を超える金額で200万円まで |
対象期間 | 平成29年から平成33年末まで | 特になし |
控除条件 | 医療費控除とスイッチOTC医薬品控除は併用できず、どちらかを選択 |
※上記の表はスマートフォンの方は横スクロールになります。
OTC医薬品控除と医療費控除の大きな違いは、所得控除額です。
OTC医薬品控除は12,000円を超える部分で88,000円までに対し、医療費控除は10万円を超える金額で200万円までとなっています。また、対象期間もOTC医薬品控除が平成29年から平成33年末迄ですが、医療費控除は特に期間は定めていません。
この2点が大きな違いとなるのですが、この2つの控除は併用できず、どちらか一方を選択しなければならないことが迷うポイントです。
とちらを選んだ方がお得なの?控除額の比較
スイッチOTC医薬品控除と医療費控除の両方を利用することはできないため、どちらかを選択しなければなりませんが、2種類あるということは当然、お得な方があるということです。
実は、所得控除における損益分岐点は18.8万円になっています。従って、以下の対応をとるとお得ということです。
【お得な控除を受ける方法】
- スイッチOTC医薬品と医療費等の支出合計額が18.8万円を超える場合は、医療費控除
- 支出合計額が10万円以上18.8万円以下であれば、合計額における医療費とスイッチOTC医薬品のいずれか金額の多い方を選択
- 支出合計額が10万円以下であれば、スイッチOTC医薬品控除
簡単に言うと、年間の医療費が少なく、OTC医薬品だけで健康維持ができているような人はスイッチOTC医薬品控除を活用するということです。
そして、どうせ利用するならスイッチOTC医薬品にした方が賢明です。ドラッグストアで薬を購入する前には必ず、「セルフメディケーション税・控除対象」のマークが付いているかどうかを確認すべきでしょう。
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