相続税と贈与税の関係とは?改正した相続税についても解説!

父親というのは得てして年を取ると、自分の生きている内に所有している財産を妻や子どものために分けてあげたいと思うものです。

しかし、それが許されると相続されるべき財産がすべて生前贈与され、納めるべき「相続税」から回避することが可能になってしまいます。

また、相続税には「富の再分配」という概念もあることから、私有財産を一家系に独占させることを許しません。

そこで、そのような行為を規制するために設けられたのが「贈与税」です。

なお、贈与税には生前贈与を受けていない相続人と受けた相続人の間の不公平を防止する目的もあります。

贈与税の方が相続税よりも税率が高い理由

贈与税というのは相続税を補完する立場にあります。

従って、贈与税はその目的から相続税より税率などが厳しくなっているのです。

例えば、税率を見ると、相続税の場合は課税価格が1,000万円の時の税率は10%でしかありませんが、贈与税の場合は40%も課税されます。

しかも、相続税では課税価格が1,000万円まで同じ10%の税率ですが、贈与税では1,000万円までの贈与額に対して以下の税率が掛けられます。

贈与額が200万円以下の場合は10%、200万円超300万円以下では15%、300万円超400万円以下では20%、400万円超600万円以下では30%、600万円超1,000万円以下では40%の税率になっています(一般贈与の場合)。

贈与額税率
200万円以下10%
200万円超300万円以下15%
300万円超400万円以下20%
400万円超600万円以下30%
600万円超1,000万円以下40%
※スマートフォンでから見た場合、表は横スクロールになります。

贈与税と相続税では免除される控除額が大きく違います!

そして、課税価格から免除される基礎控除の額が全く違います。贈与税の基礎控除は110万円ですが、相続税では「3,000万円+(600万円×法定相続人の数)」が控除されます。

従って、仮に法定相続人が母と子ども2人の計3人だった場合は、遺産額が4,800万円までは課税対象外となります。

例えば、4,800万円を法定相続通りに分けると子ども1人に1,200万円の遺産が与えられますが、相続税は0円です。

ところが、同じ1,200万円を生前贈与された場合は、基礎控除110万円を引いた1,090万円が課税価格となり、贈与税として261万円(1,090万円×45%-175万円(控除額))を納付しなければなりません。

ちなみに、贈与税の基礎控除は受贈者1人に対するものであり、贈与者1人に対するものではありません。

なので2人から110万円ずつ贈与を受ければオーバーした110万円が課税対象になります。

なお、110万円の基礎控除の他に、以下のものは贈与税が課せられません。

贈与税が課せられないもの

  • 被扶養者が扶養者から受ける生活費や教育費
  • 冠婚葬祭など、社会通念上相当と思える祝い金や香典
  • 婚姻期間20年以上の夫婦間での2,000万円までの居住用不動産の贈与
  • 離婚時の財産分与
  • 住宅の取得や改築に対する援助資金

ところで、贈与には「一般贈与」「特例贈与」があり、特例贈与というのは直系尊属から20歳以上の直系卑属に贈与することを言い、それ以外の贈与はすべて一般贈与です。

相続税の改正で何が変わったのか?

個人が納める税金の一つに「相続税」があります。仮に、被相続人である父親が死亡すると、通常は法定相続人である母親や子どもが遺産を相続します。

そして、相続した遺産分に対して各相続人に相続税が課税されます。

ただし、相続税というのは相続した財産全額に対して課税されるのではなく、「基礎控除」の金額を差し引いた残額が課税対象になります。

実は税制が改正されて、2015年から相続税の基礎控除の金額が減額され、また、一部の税率がアップしています。

つまり、増税ということです。
従来、相続税の基礎控除は「5,000万円+(1,000万円×法定相続人数)」となっていましたが、2015年からは「3,000万円+(600万円×法定相続人数)」になったことで、課税対象額が増えることになりました。

2015年から計算式変更に伴い課税対象額が拡大

例えば、父親が亡くなって法定相続人が母親と子ども2人の3人であった場合、2014年までは5,000万円+(1,000万円×3人)という計算式から8,000万円が基礎控除となっていました。

そのため、遺産が8,000万円以内であった場合は課税対象額が0円になり、法定相続人は相続税を納める必要がありません。

しかし、2015年からは計算式が3,000万円+(600万円×3人)となるため、4,800万円までしか課税対象外とならず、3,200万円も課税対象額が増えることになります。

これだけ見ると、相続人にとって負担が増えたように見えますが、実際には過去の納税実績から参照すると、基礎控除額が減額されたとしても相続税の課税対象者は6%にしかなりません。

つまり、法定相続人100人の内、納税の必要となる人は6人しかいないということです。ちなみに、2014年までの課税対象者は4%でした。

配偶者控除は税制変更なし

なお、配偶者に対する「配偶者控除」については、税制の変更がありません。

従って、配偶者の相続額に対し法定相続分、若しくは8,000万円のどちらか大きい方の額が控除されます。

例えば、夫の遺産が2憶円あったとして、妻の法定相続分の割合が2分の1だった場合は1憶円が控除されます。

また、妻の法定相続分の割合からすると5,000万円しか認められなかったとしても、8,000万円までは相続しても課税対象外となります。

配偶者が優遇されている背景には被相続人の財産形成には配偶者が大きな役割を果たしている、配偶者の老後に対する保障が必要、配偶者が死亡した時に同じ財産に2回の相続税がかかってしまう、などがあります。

ところで、税率に関しては課税対象額が2億円までは従来と変わらず、課税対象額が2億円超~3億円以下の場合に40%だったものが45%に、6億円超の場合は50%が55%にそれぞれアップしています。

あっきー

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