NISAとつみたてNISAの違いは?どっちを選ぶ?
- 2018/5/16
- 税金, 貯める
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「NISA」(少額投資非課税制度)が実施されてから4年が過ぎましたが、2018年からさらに新しい少額投資非課税制度として「つみたてNISA」が開始されました。
一つしか利用できない時に同じような2つの制度があると、どちらを選択すれば良いのか迷ってしまいます。
NISAが設立された目的とは?
「NISA」は2014年から始まりました。
NISAとは「少額投資非課税制度」のことであり、イギリスのISA(個人貯蓄口座)を基に設計されたため、この名前がついています。
NISAを設立した目的としては主に以下の2つがありました。
①経済活性化のための預金から投資への環境づくり
NISAが開始された当時、日本国民は投資のリスクを避ける傾向が非常に強く、個人金融資産における現金・預金の割合は53%で、アメリカの約4倍、ヨーロッパの約1.5倍になっていました。
1,600兆円とも言われる個人マネーを投資に回すことは、日本経済の活性化のためにも昨今の重要な課題といえます。
ただ、現在ではNISA口座の開設者は1,000万人を超えているため、既に一定の効果はあったといえるでしょう。
②将来の資産形成
NISAは老後に向けた資産形成を推進する計画でしたが、口座開設者の中心は60代になっており、この点では近年改善が必要とされていました。
そのためにできたのが、「つみたてNISA」と言えます。
NISAとつみたてNISAの違い
NISAとつみたてNISAでは主に以下の点が異なります。
①非課税投資枠
通常、投資によって利益が発生した場合、利益に対して20.315%の税金がかかりますが、NISAとつみたてNISAの投資枠で発生した利益に対しては課税されません。
非課税となる年間投資枠はNISAが120万円で、つみたてNISAが40万円であるため、つみたてNISAは枠が小さい分デメリットと言えますが、平均的な年収のサラリーマンにとっては大きな影響が出るわけではありません。
年間40万円の上限を月単位に換算すると毎月33,000円になり、生活費とのバランスからいって、妥当な金額を非課税という恩恵が受けながら積立てることができます。
また、非課税は20年間続くため、総額では非課税枠が800万円になり、NISAの600万円よりお得です。
②非課税期間
NISAで購入した株式・投資信託は5年以内に処分することになります(ロールオーバーによって最大10年まで非課税が可、5年後の新たな買付けは不可)。
一方、つみたてNISAは非課税期間が20年と長期間となっているため、長期目線での投資を考えることができます。
短期的な価格変動に左右されず、大局的見地から判断する余裕が持てます。
なお、売却はいつでも自由にできるため、利益を確定したい時は処分することも可能です。ちなみに、つみたてNISAはロールオーバーができません。
③実施期間
NISAは2023年まで、つみたてNISAは2037年まで実施されます。
ただ、NISAは2023年までとなっていますが、その時点で終了するのか、延長されるのかは現状では不明であり、終了後につみたてNISAに一本化される可能性もあります。
また、つみたてNISAは2037年まで20年間非課税を利用できるため、商品の処分に関しては以下のようになります。
- 2018年に購入:2037年までの売却利益が非課税
- 2019年に購入:2038年までの売却利益が非課税
- 2036年に購入:2055年までの売却利益が非課税
- 2037年に購入:2056年までの売却利益が非課税
例えば、2018年に20歳でつみたてNISAを始めた場合、40歳になるまで毎年積立ることができます(売却はいつでも可)。
40歳になると2018年購入分の非課税期間が満了するために売却し、41歳になると2019年購入分を売却します。
そして、60歳になると最後の2037年購入分を売却します。つまり、つみたてNISAは現役世代を通して優遇制度を利用できるということです。
④取扱い商品
NISAは株式・投資信託が対象となっていますが、つみたてNISAは投資信託(ETF含む)しか取引ができません。
投資信託は運用をプロに任せられるというメリットはありますが、NISAと違い、個別株の投資における株主優待や配当金というメリットは得られません。
NISAとつみたてNISAの購入方法
NISAは自分の任意のタイミング、任意の金額で商品を買えますが、つみたてNISAは購入商品を予め決めた金額で、決めた期日に定期的に購入します。
つみたてNISAにおける対象商品の条件は?
NISAは一般的な上場株式や投資信託、ETF(上場投資信託)などに投資できます。
しかし、つみたてNISAの対象商品は、定められた要件を備えた投資信託、ETFに限られている点に注意が必要です。
長期積立や分散投資に適するものであるため、運用手段はインデックス型を基本とし、アクティブ型の場合は信託設定以後5年以上経過しているものとされます。
また、販売手数料は無料で、信託報酬は決められた水準以下、信託契約期間は無期限または20年以上、分配頻度が毎月ではないこと、などが条件です。
NISAは個別株やリートなどにも投資が可能なため、投資資金に余裕があり、自分の裁量で売買したい人向きといえます。
一方、つみたてNISAはそのスペックからいって、運用よりも老後資金を確保したい人のための制度といえるでしょう。
定期的に一定金額を同じ商品に投資するドルコスト平均法の効果を活かして、コツコツと資金を貯めていく事になります。
ちなみに、NISA、つみたてNISAとも利益が発生しても非課税の恩恵を受けられますが、損失が出た場合の損益通算はできません。
ドルコスト平均法の仕組み
ドルコスト平均法とは同一の商品に対し定期的に同額分を購入する方法のことです。
例えば、A商品に30万円を投資するとした場合、A商品の価格が1,000円だとすると、一度に購入した際は300口になります。
それをドルコスト平均法で3ヶ月に10万円ずつ購入するとしましょう。
1ヶ月目の価格は1,000円なので100口購入できます。
2ヶ月目に価格が500円に値下がった場合は損失が発生しますが、損するのは1ヶ月分の10万円だけです。
逆に、500円に値下がったことで200口を購入できることになります。
3ヶ月目に元の1,000円に戻ったとすると、また100口を購入する事が可能です。
結果的に、まとめて買った場合は1円の利益もありませんが、ドルコスト平均法では500円の200口分が利益として残ります。
なお、値上がりした場合は購入できる口数が減ることになりますが、その後暴落しても少ない口数分の損失で済みます。
このように、大きな利益を得ることは望めませんが、値下がりにおけるリスクを大幅に削減できるのがドルコスト平均法の最大のメリットといえるでしょう。
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