近年、空き家が非常に増えており、防災、防犯の面で大きな社会問題になっています。
そこで、空き家対策として、国土交通省は空き家に入居する子育て世帯や高齢者に対し、家賃の補助として最大で月4万円を補助することが2017年秋から始まる予定です。
また、受け入れる側の住宅の所有者に対しては、住宅の改修費として最大で100万円が支給されます。
空き家対策はどう行われるのか?
国土交通省が空き家を使った新たな制度を構築するのは、自治体が建てる公営住宅だけでは需要を賄うのに限界があるた事も一つ理由として挙げられるでしょう。
公営住宅への応募倍率は全国平均で約6倍、東京都では約23倍に達している一方、民間の賃貸住宅では子育て世帯が満足できるような間取りの家に住めなかったり、家賃の滞納や孤独死などのリスクを避けるために高齢者の入居を拒否したりするケースが多くなっています。
そういう環境の中、全国の空き家は800万戸以上に拡大しており、その内賃貸住宅が430万戸を占めているのが現状です。
今後も世帯数の減少による空き家の増加が見込まれており、新たに公営住宅を建設するより既存の空き家を活用する方が資金面でも得策と判断出来るでしょう。
空き家対策用の登録制度?
今回のシステムを稼働させるため、空き家や民間賃貸住宅の登録制度を創設し、住宅の所有者に登録を呼びかけます。
対象となる物件は、18歳以下の子どものいる世帯や、60歳以上の高齢者、障害者、被災者などに提供する専用物件、及び入居可能物件です。
そして、自治体は登録住宅の情報を提供し、入居者を募集します。
先述した家賃の補助は、専用住宅に入居する子育て世帯や高齢者などの内、原則として月収38万7,000円以下の人が対象です。
現在、公営住宅の入居対象者の条件が概ね月収15万8,000円以下(高齢者は21万4,000円以下)となっており、それと比較すると大幅に条件が緩和されているため、全世帯の7割が適用を受けられます。
さらに、賃貸契約の際には、必要な家賃の債務保証料として最大で6万円が補助されます。
保証料の補助に関しては、近年の保証料の相場が家賃の半額程度となっており、所得の低い人にとっては大きな負担になっていることが理由に挙げられます。
物件の改修への補助もある?
空き家対策用の登録物件に関して、耐震改修やバリアフリー化の工事も促していく方向が示されています。
具体的な内容としては、専用住宅への補助として1戸当り最大で100万円を支給する他、住宅金融支援機構の融資を受けられるようにする。といったものです。
さらに、一軒家の間取りを変えてシェアハウスにする工事も認められます。
ただし、1人当りの面積基準などを定め、所得が低い人に対して劣悪な住宅をあてがうことのないような防止策も用意されています。
今回の施策は空き家対策と、子育て世帯や高齢者の入居支援を同時に図ることが目的といえるでしょう。
ただ、空き家を提供する側と利用する側のニーズがぴったり合うかどうかはわかりません。
また、地域的な需要と供給のバランスも課題として挙がっています。
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