DVDレンタルの延滞料金は支払わなければならないのか?
- 2018/2/1
- 払う
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近年はパソコンやスマホが浸透したためか、市民のテレビ離れが進んでいますが、インターネットによる動画配信が普及したことで、DVDのレンタル市場も縮小傾向にあります。
ところで、DVDレンタルでたまに起きる「事故」が返却日の延滞です。新しいDVDを借りに行った時に店員に言われて気付く人もいます。
意図的に延滞する人はいないでしょうから、忘れていたり、忙しくて返しに行けなかったりしたためです。利用者には悪気が無くても、レンタルショップは貸出の機会損失が生まれるため、当然損害賠償として「延滞料」を取られることになります。
その延滞料は一般的に1本1日300円になっています。
仮に、DVDを2本借りたまま返却日のことを忘れてしまい、3ケ月が過ぎた時に気付いて返しに行くと、「300円×90日×2本=5万4,000円」の請求を受けることになります。
DVDレンタルの延滞料金が高額だった!払わないといけないのか?
利用者がDVDを借りる行為は法律上、レンタルショップとの間で賃貸借契約を交わすことになります。
そして、レンタルショップの会員規約などに同意した上で会員になります。
仮に、会員規約に延滞料の定めがあった場合はそれに同意して会員になった以上、延滞料に対して『延滞料を支払う約束をしたつもりはない』と言っても法的には認められません。
従って、5万4,000円を支払わなければならないのが原則です。
しかし、業者と消費者との間の契約に関する法律に「消費者契約法」があり、例え規定に同意してあったとしても、「消費者の利益を一方的に害する」規定は無効としています。
それは、民法の基本原則が「信義誠実」であり、権利の行使や義務の履行においては相手の信頼を裏切る行為をしてはならないとしているからです。
つまり、信義誠実に反するような料金の請求は無効ということです。
そこで、DVDの延滞料に関して言えば、レンタルショップに生ずる「平均的な損害額」を超える部分についてはその部分が無効になります。
従って、5万4,000円という金額は平均的な損害額を逸脱するため、そこまでの金額を支払う必要が無いということです。
DVD延滞料金の妥当な金額とは?損害額の計算方法
それでは、DVDレンタルの返却期限が過ぎた場合に、レンタルショップに生ずべき平均的な損害額とはいくらなのかということですが、DVD本体の価格を基準とするケース、または、DVDのレンタル料金、延滞期間、及びレンタル実績などを考慮して本来の返却期限までに返却されていた場合に、他の利用者へレンタルすることで得られた儲けを平均的な損害とすることもできます。
例えば、返却し忘れたDVDが大人気になっており、レンタルするにも常に予約待ちであるような場合にはレンタルショップの機会損失も多大であると言え、生ずべき平均的な損害も高額になることが予想されます。
逆に、過去のレンタル実績がほとんど無いようなDVDであれば、平均的損害が微小になります。
延滞料金で高額請求を受けた場合は減額交渉!無理なら専門家へ相談
具体的な対策としては、レンタルショップに延滞料を支払う意思を示しますが、ただ、金額は消費者契約法に反する金額であることを納得してもらい、延滞料の減額での和解を提案します。
もし、レンタルショップが応じない場合は延滞料の一部を供託するという方法があります。
利用者が通常生ずべき平均的な損害額を供託することで、利用者が支払いを拒否しているわけではないことを公に証明できます。
いずれにしても、平均的な損害額を算出するにはレンタルショップの協力も必要なため、和解がまとまらない場合は弁護士などの専門家の援助が必要になります。
弁護士などの専門家に依頼すれば当然費用が発生しますので、延滞金と専門家に支払う金額を天秤にかけて考える必要があります。
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