近年、地震保険に加入する家庭が増加していますが、まだそれほど普及率が高くないためか、地震保険の内容を理解していない人が少なくありません。
地震保険制度は1966年に制定された「地震保険に関する法律(地震保険法)」が基盤になっていますが、設立されたきっかけは1964年に発生した新潟地震であり、被災者の生活の安定を目的としています。
当時の大蔵大臣が新潟県出身の田中角栄であったことも設立に大きく影響しています。
地震保険が公共性が高いのは政府が保険金の一部を負担しているから
地震は予測することがほぼ不可能であり、東日本大震災のような大きな地震が起きると巨額の被害が発生します。
そのため、損害を補償するにしても莫大な資金が必要になることから、民間の保険会社が独自に地震保険を運営することはコスト面で非現実的です。
1923年の関東大震災の時は地震保険がなく、火災保険では補償対象外のため、保険会社は国から借金をして、被災者に見舞金を支給しました。
そこで、地震保険は政府が保険金の一部を負担する仕組みを採り入れており、法律に則った形で政府が管理する公共性の高い保険になっています。
補償対象も火災保険では補償されない地震や津波などによる住宅や家財の損害です。
地震保険は事業使用は不可で火災保険とのセット契約が原則!
なお、あくまでも生活の安定が主体であるため、工場や事務所など事業に使用する建物は補償されません。
また、家財であっても車や1品の価額が30万円を超える高級品は補償対象から除外されます。
ちなみに、地震発生日の翌日から10日経過した後に生じた損害や、対象物の紛失・盗難に対しては保険金が下りません。
そして、地震保険は火災保険とセットでの契約が原則であり、地震保険だけの加入はできません。
実際に、火災保険の申込書には地震保険が組み込まれており、地震保険を希望しない場合は「地震保険不要」と指定するようになっています。
火災保険とセットで販売される理由は、保険料を安くできるようにするためです。
地震保険を単独で販売するためには補償のための資金の確保や、保険会社の販促費・人件費などの経費をすべて地震保険の保険料でカバーせざるを得ないため、保険料が高額になってしまいます。
そこで、火災保険と抱き合わせることで経費の負担率を下げ、保険料を抑えることで地震保険に入りやすくしています。
地震保険は生活資金の手当てを目的としている保険
ところで、地震保険の保険金は火災保険の保険金の30~50%の範囲内に限定されます。
そして、建物は5千万円、家財は1千万円が上限となります。
例えば、評価額1千万円の建物があった場合、火災保険で保険金を1千万円とする契約をしたとしても、地震保険では50%の5百万円が契約の上限となります。
従って、地震保険の保険金で住宅の建て替え費用を全額賄うことはできません。
地震保険は住宅の修復のためのものではなく、被災者の生活資金の手当てを目的としている保険だからです。
その代り、巨大地震が起きた時でも、すべての被災者にスムーズに保険金が支払われるようになっています。
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