住民税の非課税世帯となる条件とは?
- 2018/2/5
- 税金
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自治体が住民に対し公的な優遇措置を提供する際に、措置の可否の判断基準とされるものに「住民税非課税世帯」があります。
つまり、住民税の課税が免除されるほどの所得の少ない世帯ということであり、住民税非課税世帯に対しては色々な減免措置が採られています。
住民税はそもそもどんな仕組み?
住民税は各自治体が賦課徴収する地方税の一つとして、年間の所得に対して課される税金であり、1月1日時点で住所のある都道府県と市区町村に対して納付します。
そして、住民税には「均等割」と「所得割」の2種類があります。
均等割は課税対象者が「一律で」納付する税額のことです。
課税標準年額は、市町村税が3,500円、都道府県税が1,500円というように一定の基準が期限付きで設けられています。
2023年までは上記の標準年額が一律の税額です。
逆に、所得割は課税対象者の「所得に応じて」納付する税額が変わります。
税率は所得に対して10%(市町村6%+都道府県4%)です。
なお、「所得」というのは収入から必要経費を差し引いた金額を指します。
つまり、例えば給与所得者の場合は、給与から給与所得控除(課税上の必要経費)を引いた金額がここでいう所得です。
住民税非課税世帯の条件とは?
住民税非課税世帯とは、その世帯員全員が住民税の非課税者となっている世帯のことです。
例えば、夫婦と子ども2人の世帯であった場合、4人全員が住民税の課税対象になっていないということになります。
1人でも非課税の基準を超えていると、住民税非課税世帯とはなりません。
なお、所得割も均等割も非課税対象者である必要があり、どちらか片方が課税される場合は非課税者にはなりません。
以下の条件を満たすと非課税になり、住民税が課税されません。
①生活保護を受給している
②未成年者、障がい者、寡婦(夫)で前年合計所得金額が125万円以下である(給与所得者の場合は204万4,000円未満)
〇所得割の非課税条件
前年の合計所得が以下の人
- 控除対象配偶者や扶養親族が有り:35万円×(本人・控除対象配偶者・扶養親族の合計人数)+32万円以下
- 控除対象配偶者や扶養親族が無し:35万円以下
〇均等割の非課税条件
前年の合計所得が各自治体の定める金額以下の人(東京23区内の場合)
- 扶養有り:35万円×(本人・扶養者・控除対象配偶者の合計数)+21万円
- 扶養無し:35万円
例えば、夫婦が共働きで小学生の子どもが1人の世帯の場合、夫の給与が205万円(所得126万円)以下、妻のパート給与が100万円(所得35万円)以下であれば、その世帯は住民税非課税世帯になります。
住民税の非課税対象で誤解の多いケースとは?
住民税の非課税対象の条件をよく理解せず、誤解しているパターンというのもあります。
よくあるのは、上記で述べた条件の所得割だけを満たしていて、均等割りの条件は対象外であるのに、両方とも非課税だと思ってしまう事です。
例えば、年収110万円の人の所得額は45万円です(給与110万円-控除65万円)。
ただ、住民税(所得割)には基礎控除が33万円あり、その他生命保険料控除や医療費控除などの控除で15万円あったとすると、その人の最終的な課税所得は-3万円です。
よって、所得割の税額は0円です。
しかし、均等割非課税の条件である所得が35万円以下(扶養無し)という条件は満たしていないため、均等割は課税されます。
従って、住民税非課税世帯にはなりません。
また、少し特殊な場合として、副業で損失がある際の非課税の対象などが挙げられます。
というのは、本業では所得があっても、副業で損失が発生していると、非課税世帯になることがあるのです。
例えば、副業をしている独身のサラリーマンがいたとしましょう。
仮に、そのサラリーマンとしての年収が400万円だとすると、所得は266万円になります(給与400万円-控除134万円)。
当然、課税対象です。
ところが、副業で大失敗し、235万円の損失が発生したとします。この場合は損益通算によって所得を合算することができます。
そのため、最終的な所得は31万円になり(266万円-235万円)、課税対象にならないため、非課税世帯として扱われます。
なお、副業ではなく、不動産の売却で損失が出た場合も同様な扱いになります。
住民税非課税世帯に対する補助や助成はある?
住民税非課税世帯に対しては、以下などの負担の軽減措置も図られます。
- 国民健康保険料の減免
- 高額療養費の自己負担限度額の軽減(月35,400円まで)
- NHK受信料の免除(非課税世帯に障がい者がいる場合)
- 保育料の減免(自治体による)
- 健康診断や予防接種等の減免
- がん検診の料金減免
- 入院時の食事代等の自己負担額の減免
- 介護保険サービス料の減免
低所得者に対する減免措置は社会におけるセーフティネットであり、所得の再分配ともいえます。
ところで、住民の中には住民税非課税世帯のメリットを得ようと、世帯分離を図る人がいます。
確かに、世帯分離によって課税世帯と非課税世帯を分けることが可能であり、非課税世帯の優遇措置を受けることができます。
しかし、世帯分離をしてしまうと各種所得控除が適用されなくなり、所得税や住民税が増額される可能性があります。
控除による税額の軽減と、非課税世帯における優遇措置のどちらが有利かをよく見極める必要があるといえるでしょう。
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