NHK受信料の未払いは違法なのか?
- 2018/2/2
- 払う
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毎年のように不払い問題で話題になるのがNHKの受信料です。『NHKを見ていない(?)から支払う必要はない』と豪語している人もいます。
NHKの受信料を支払っていない人はテレビ所有者の内、約24%になっています。
逆に、76%の人はちゃんと支払っているわけですから不公平になりますが、それより何より法律に違反しないのかという疑問があります。
NHKによる受信料徴収の根拠は放送法
NHKの受信料徴収の根拠となるのは「放送法」です。
放送法には「受信設備を設置した者はNHKと契約を結ばなければならない(ラジオは除く)」との規定があります。
当然、地デジ放送もBS放送も同様です。
受信設備というのは家庭用のみならず、携帯用、自動車用などでNHKの放送を受信できる設備のことを言い、設置とは使用できる状態のことです。
つまり、テレビに限らず、携帯電話やスマホを持っていれば契約対象者になりますし、BSアンテナやチューナーが付いていればBS放送の契約対象者になります。
そして、契約対象者は放送法における契約を結ぶ義務があり、契約を結べば民法における受信料の支払い義務が発生します。
受信料徴収は放送法上の義務だが罰則規定は無し
契約対象者であるにも関わらず、契約を結ばなかった場合は放送法違反になります。「見ていない」は通用しません。
ただし、契約しなかったことに対する罰則規定はありません。
なお本来、契約というのはどんな契約であっても当事者双方の合意の基に成立します。
そのため、視聴者が契約の意思を表示していないのに、NHKの請求だけで受信契約が成立するのかという法的な問題が残ります。
契約を結んだのならば支払は民事上の義務
仮に、NHKと契約を結んだ上で受信料を支払わない場合は放送法には関係なく、民事上の契約違反になります。
受信料に限らず、電気や電話だってサービスを受けておいて代金を支払わなければ債務不履行となり、法律上では差押の強制執行も可能になります。
裁判所は受信契約の義務を認め、受信料の支払いを命じています
ところで、実際にNHKの受信料不払いにおける裁判が各地で行われており、結果としては「受信契約に応じない場合でも、NHKが契約締結を求めてから2週間が経てば自動的に契約が成立したものとする」という判決が数多く出ています。(2016年1月現在)
ただ、裁判所によっては契約には双方の同意が必要との見解を示し、判決が確定した時点で視聴者の承諾が得られたものとするという判決もあります。
いずれにしても、裁判所は受信契約の義務を認めており、受信料の支払いを命じていることに変わりはありません。
ただテレビがあるというだけで受信料を要求されることに拒否反応を示すことは理解されるとしても、「契約をしていない」という理由だけで受信料を支払わないのは、放送法に罰則規定の無いことを逆手に取っていると思われても致し方がありません。
現在、受信料未払いの人はいざという時の覚悟は必要です。
ちなみに、NKK以外の民放は受信料が無料ですが、それはCMの放映料があるからにほかなりません。
NHKのネット配信で受信料はどうなる?
NHKは2017年現在、地上波テレビ放送をインターネットを通じてスマホなどに常時同時配信する計画を進めており、オリンピック前年の2019年から実施する予定です。
配信されるコンテンツは地上波放送の「総合テレビ」と「教育テレビ」になっており、衛星放送に関しては番組数の多いスポーツ中継の権利処理に課題が残るため配信されません。
ネット配信においては受信料が徴収されることになりますが、すでにテレビの受信契約に基づいて受信料を支払っている世帯に関しては追加徴収がされず、従来通りの受信料で視聴できるとしています。
徴収方法として、NHKは『何らかの技術的な手段でNHKの放送を受信する手続きを設け、手続き頂いた方にご負担いただく』としていることから、テレビを持っていない人がスマホに視聴用のスマホアプリをインストールすることで受信料を徴収されると見込まれます。
受信料の金額については、所管の総務省とNHKで意見の対立があるため現段階では未だ決まっていません。
ただ、NHKでは現行の地上波契約の受信料と同程度の額として、テレビと同じ2ヶ月分で2,520円(税込)を検討しています。
受信料徴収の際、アプリ内課金以外の方法で受信料を徴収するような仕組みは、App Storeの規約に抵触するためリジェクト(拒否)の対象です。
スマホアプリは通常、AppleやGoogleのアプリストアを通じて配布されるので、アプリストアの規約にNHKは準じなくてはいけません。
従って、事前に受信料の徴収を行った上で、支払済契約者に対してNHKがIDを発行し、アプリにIDを入力すると視聴が可能になるようなシステムが見込まれているようです。
NHKのネット配信は希望者のみ利用でOK?
今回の料金徴収は、受信料を支払っている人だけが見られるというシンプルなシステムです。
その為、ネット視聴できるスマホを持ってる場合は絶対にNHK配信アプリをインストールし、受信料を払わなくてはいけない。といった事はありません。
よって、視聴の有無に関わらず、テレビを所有しているだけで受信料を取られるという非合理さは無くなります。
NHKを視聴していても受信料を支払っている人と支払っていない人がいるという不公正さがないのは嬉しい点です。
NHK番組をわざわざスマホで見たいと思わなければ、アプリをインストールする必要も受信料を払う必要もありません。
ただし、受信料の金額に関しては、地上波放送の同時配信をする程度で月額1,260円というのは高い!と言わざるを得ないでしょう。
現在ではスマホで利用できる月額有料の動画配信サービスは多種多様にあります。
NHKのネット配信を他のサービスと比べると?
SVOD(subscription video on demand・定額制動画配信サービス)なら様々な番組が見放題であり、番組のリアルタイム配信を行っているサービスもあります。
例えば、リアルタイム配信が中心のインターネットテレビ局であるAbemaTV(サイバーエージェントとテレビ朝日が共同で設立)は無料で視聴が可能であり、プレミアムプラン(月額960円税込)に加入すれば見逃してしまった過去の番組が見放題となっています。
時に、NHKの過去番組の視聴が可能な「NHKオンデマンド」では直近1ヶ月の見逃し番組サービス「見逃し見放題パック」が972円(税込)、過去のドキュメンタリーやドラマなど計5,000番組が見放題となる「特選見放題パック」が同じく972円(税込)で別個に提供されています。
仮に、見逃した番組の視聴も同時配信の料金に含まれるのでれば、高過ぎるということは無いかもしれませんが、放送法によって、過去の番組の配信サービスは受信料とは別会計にしなければならないため、込々の料金にはできません。
逆に言えば、NHKのネット同時配信アプリでは、Abema TVのような充実したサービスを期待できないため、予定されている金額は妥当性に欠くといえるわけです。
今回のスマホアプリでの地上波放送の同時配信は単体で考えると割高感がありますが、従来の地上波放送受信契約者には無料で視聴できることから、追加サービスとなっています。
ちなみに、従来のテレビ受信料においても、スクランブル化(画像を乱して表示させなくする処理)して希望した人だけが料金を支払って視聴するようにすれば、不払いの問題が解消できるはずです。
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