近年、国をあげて、建物の内外における喫煙の禁止範囲が日に日に拡大されています。
愛煙家にとっては迷惑なことですが、かといって女性や高齢者、子供などが煙害を被るのを見過ごすわけにはいきません。
というのも、喫煙者本人よりも副流煙を吸う事になる第三者の方が、健康に悪影響のある物質(ニコチン、タール、一酸化炭素)の感受量が2~4倍ほど多いという結果も出ています。
そんな中、企業が受動喫煙を防止する策を講じると、国から「受動喫煙防止対策助成金」が支給されます。
喫煙者という一部の方の愉しみのために、国税が助成金として使われるのは若干面白くない話ですが、分煙・禁煙を徹底させたい中小企業にはありがたい制度です。
受動喫煙防止対策助成金をもらうには?
具体的には、中小企業が受動喫煙を防ぐために職場に喫煙室を設置すると、助成金を受給できます。
勤務中に煙草を吸われては周りのみんなに迷惑が掛かるため、喫煙室を設けようと思っても、中小企業だとその費用が工面できません。
その様に企業規模による収益が問題で、職場の分煙がままならない際に申請可能なのが、受動喫煙防止対策助成金です。
喫煙室を設置する為の工費や、それに該当するような分煙のため備品費、機械装置費などの費用の2分の1が支給されます。
助成金の上限は200万円で、1事業場に付き1回までです。
助成対象になる条件は?
受動喫煙防止対策助成金による助成が受けられる事業主には条件があります。
それは、労働者災害補償保険の適用事業主であることです。
加えて、中小企業の範囲に収まるかどうかの条件が以下のように定められています。
ちなみに、個人事業主の場合も要件を満たしていることで、助成金の申請が可能です。
助成金で設置する喫煙室に関しても以下のような基準が設けられています。
- 職場を全面禁煙化する前提が必要。
- 喫煙室の入口から喫煙室内に向かう風速が0.2m/秒以上。
- 喫煙所直近の建物の出入口において、喫煙所による喫煙の影響で粉塵濃度が増加しない。
- 必要換気量が70.3×(席数)/時間以上または喫煙区域の粉塵濃度が0.15mg/㎡以下。
助成金を使って設置した喫煙所以外を全面禁煙にすることが、第一の条件となっています。
ただし、宿泊施設など労働者滞在時間が短い場合に関してはその限りではありません。
また、以前は屋内の喫煙所設置にしか対応していませんでしたが、平成27年から屋外喫煙署の設置も助成対象になりました。
加えて、分煙用に個室や壁などの仕切りを設けられないような職場でも、専用の換気扇やエアーカーテンを設置することも可能で、それらの設置も助成金で賄う事が可能です。
助成金受給までの手続きの流れは?
- ①添付書類を添えて申請書を労働局に提出し、審査を受ける。
- ②助成金の交付決定通知書を受領(審査日数最長1ヶ月)。
- ③喫煙室の設置工事を実施。
- ④事業実績の報告書を労働局に提出。
- ⑤交付額確定通知書を受領。
- ⑥請求書を提出。
- ⑦助成金を受領。
- ⑧喫煙室等の実施状況報告書を提出。
申請時に必要な添付書類としては以下などがあります。
- 受動喫煙防止対策についての事業計画書。
- 喫煙室の設置予定場所の工事前の写真(申請日から3ヶ月以内)。
- 設置予定喫煙室の場所、仕様、換気扇などの設備、利用可能人数、その他助成事業の詳細を確認できる資料。
- 喫煙室の設計が要件を満たしていることを確認できる資料。
- 喫煙室の設置に関する施工業者からの見積書の写し。
受動喫煙防止対策助成金は同じ事業場で喫煙室を複数作る場合も1件としてしか申請できません。
また、工事費用は一括での支払いのみ助成金が支給され、分割の場合は対象外となります。
喫煙設備がリース契約であったりする場合も助成金が支給されないので注意が必要です。
喫煙者がプライベートで自分しかいない場所もしくは、同じ喫煙者しかいないような場所で、タバコを愛用するのは個人の嗜好ですから勝手が許されるでしょう。
しかし、職場など第三者も巻き込むような空間では、喫煙者はマナーが問われる時代になりつつあるといえます。
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