普段、お金を騙し取られるということを意識している人はほとんどいないことでしょう。
しかし、実際には身近に起こっており、その代表例が「振り込め詐欺」といえます。
近年は核家族化が進んだため、高齢者だけの世帯や、高齢者の一人住まいが一般化しています。
つまり、その分、高齢者が振り込め詐欺に遭う機会が多くなっているのです。
実は、振り込め詐欺でお金を騙し取られた被害者を救済するための法律があります。
それが2008年に施行された「振り込め詐欺救済法」です。
この法律が制定されたことで、詐欺で利用した犯罪者の銀行口座に残高がある場合、その金額を元手に被害者に対して被害額の一部または全部の返金が行われるようになったため、被害者は被害額の救済をしてもらうことが可能になりました。
対象となる口座は、振り込め詐欺や詐欺商法などで騙されてお金を振り込んだ先の預金口座です。
具体的な口座名や現在の預金残高は「預金保険機構」から公告(ホームページに掲載)されます。
どれくらい返金してもらえる?
振込先預金口座の残高や被害額に応じて返金されます。
例えば、Aさんが200万円、Bさんが100万円の振り込め詐欺に遭ってX銀行の預金口座にお金を振り込んだとしましょう。
そして、詐欺師がその中から150万円を引き出したことで、預金口座には150万円だけが残っていました。
この場合、被害額が案分されるため、Aさんには100万円、Bさんには50万円が「被害回復分配金」として返金されます。
ただし、返金してもらうためには支払い申請が必要なため、仮にBさんが申請していないと、Aさんに150万円の全額が返金されるので、注意が必要です。
支払い申請から返金までの流れは?
捜査機関や金融庁、弁護士などからの通報によって預金口座が犯罪に利用されたと確認できると、銀行は犯罪に利用された口座の残高に対する口座名義人(詐欺師)の権利を失わせる手続きを行います(入出金の停止)。
口座凍結後、銀行からの要請で預金保険機構のウェブサイトに権利消滅の公告が60日以上掲載されます。
口座名義人から権利行使の届け出がなければ預金債権の権利消滅が確定し、その後、被害者から被害回復分配金の支払いの申請を受け付ける公告が30日以上掲載されます。
その申請期間内に申請すると、被害額を返金してもらえるようになります。
申請には「申請書」、「本人確認書類」、「振込の事実を確認できる資料(振込明細書など)」が必要です。
- 被害者は振り込め詐欺に気付いた時点で、警察や振込先金融機関に連絡
- 振込先金融機関が口座凍結処理
- 預金保険機構が振り込め詐欺に利用された口座を公告
- 被害者は振込先の口座が掲載されていないか確認
- 預金保険機構が被害回復分配金支払い申請の受付を公告
- 被害者は支払い申請の手続きを実施
- 振込先金融機関から被害者に被害回復分配金の返金
振り込め詐欺に遭った場合は速やかな処理が必須です。
そこで、高齢者の親を持つ人は被害に遭わないために、日ごろからお金の管理に関する話し合いをしておくことが重要です。
なお、振り込め詐欺救済法は振り込め詐欺だけではなく、ネット通販などによる詐欺商法にも適用されます。
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